考えごと

散歩、ポエム、むらさき。

夢・脳波・妄想

 不思議の国のアリス症候群が起きるとき、あの感覚、あの記憶、あの声がリプレイされる。何でも良い、脳の中で独り言を大声で喋ってあの声を塗り潰さないと、あの声がすぐそこまで近づいてきて俺の不安を駆り立てる。恐ろしくもあるが、同時に彼が俺に何を伝えようとしているのか、本当は聞かなくてはならないようにも思う。彼は一体誰だったのだろうか。

 暗く深い滝壺で友人たちと鮫に襲われる夢を見た。必死で泳ぐと、逃げた先は真夏の太陽に降り注ぐ美しい浜辺だった。黒い子猫を拾う夢を見た。気付くと猫は何処かへ居なくなって、探し回っても終に見つからなかった。猫は自由なのだ。それでも後悔の気持ちだけが残暑のように残った。コンビニに駐車していた車を白昼盗まれる夢を見た。驚いて振り返るとそこは舗装もされていない雑草の生い茂る田舎道だった。いつの間にこんな場所へやってきたのだろう。胸に穴の開いた抜け殻のような感覚だけが残っていた。

 時々インターネットに潜って他人の夢を蒐集している。人間は夢を計算する機械なのだ。宇宙の深遠よりも、深海の深遠よりも、本当は人間の深遠が最も広大だ。何故ならそれは宇宙の外にある。会話は口と口の関係、いつか心と心が関係する日が訪れるまで、嘘は会話と肩を並べている。心と心が関係できてもこの肉体では争いも無くならないだろうけど。

「幸運」